大切なキーホルダーを失くしてしまった。
家の鍵につけていた、文字通りのキーホルダー。名前はポチ。
ゴルフクラブを持った、黒い犬なのだ。
玄関の鍵を開ける。かすかな違和感はあった。そのまま中に入る。はたと気づき、確かめる。ない。
外に飛び出す。そこで落とした訳ではないらしい。
道端に、ポツネンと落とされたポチが目に浮かぶ。あぁ、なんと悲しい情景だろう!
あたふたした時間は数分か、数時間か、数日か。
とにかく、ポチはいた。鍵に結んであった紐が切れただけで、鍵を入れたリュックに、ちゃんといた。
まだ大学生の頃の、平和な一コマである。
しかし、事実は衝撃として残った。